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他人(ひと)の本棚・2017年3月

※●印は図書館で借りた本(★印はCD)の個人的な覚え書きなので、ネタバレしてゐたり、読むのにわかりづらいところが多々あります※

◎今まで買ひ溜めて、読めないものだからほつたらかしにしてゐた洋書の編み物本を、ようやつと一生懸命訳してます。

 日本の編み物本は図解して有るので、見たまま編めるのですが、外国の編み物本は全部が文章のみでの表記なので、文章が読めないとお話にならなかつたのです。

 と云つても、以前買つた編み物の英文パターンを読み解く本があるので、随分楽ですが(笑)。

 でも、ガイド本のおかげで今までちんぷんかんぷんだつた内容が解つてきて、まるで宝のありかを示す地図を読み解けたみたいで、ワクワクします♪

 これから作品として完成させるには、まだまだですが、途中で投げ出さないやうがんばります!

●ロバート・シェクリィ 著/宇野 利泰 訳『異色作家短編集9 無限がいっぱい』(早川書房/二○○六年発行)

 原書は一九六〇年刊行。

 ロバート・シエクリイは一九二八年ニユーヨーク生まれで、ハイスクール卒業後、軍に入隊し、三年間朝鮮に駐屯、除隊後はニユーヨーク大学に学び、その間に作家デビユー。

 朝鮮に駐屯してゐたつて事は、マリリン・モンローの慰問コンサートとか、聞いたのかなあ。

 シエクリイも前回読み飛ばしてゐたやうで、今回初めて読む話ばかりでした。

 全体の感想としては、私が「このあたりがオチの着地点かな?」と思ふ地点より、まだ斜め前十八度位にオチの先の話が有る、シエクリイの個性が興味深かつたです。

 では以下、簡単なあらすぢと感想です。

《グレイのフラノを身につけて》

 グレイのフラノを数着と、青縞の細身のネクタイを多数愛用し、角ぶちの眼鏡をかけた、良く云へば模範的、悪く云へば何処にでも居るやうな青年、トマス・ハンリー。

 一見穏やかな彼だが、心の内ではロマンチツクで情熱的な“運命の出会ひ”を秘かに求めてゐた。

 そんな彼が、ある夜奇妙なセールスマンの訪問を受けた。

 理想のロマンスを販売してゐると云ふそのセールスマンから、上着のえりの折り返しにつける小型トランジスター・ラジオを受け取つたハンリー、街歩きを始めると、トランジスターから声が聞こへ始め、導かれるままに歩き続ける。

 と、一人の女性と出会ひ

…。

 未婚の男女が増えてゐる昨今、スマホでかう云ふ“セールス”があれば、結構利用する人は多いかも。

 オチがもうひとひねりしてあるところが、何でも金儲けにしてしまふビジネスマン達の怖さにもつながつて、う〜んと唸りました。

《ひる》

 数千年のあいだ、広漠たる宇宙をさまよひつづけた“ひる”が、地球にやつて来た。

 雨・風・太陽など、あらゆるエネルギーを吸収して巨大化してゐく“ひる”に、人類は立ち向かうが…。

 オチもヒヤリとする、懐かしのSFホラータツチですが、科学者と軍人の気質の対比が、また効果的。

 さういへば昔のSF映画つて、実際の生き物が巨大化して大暴れ…とかよく有りましたよね。

 アリとか。

《監視鳥》

 殺人を未然に防ぐ画期的な鳥形のロボツトが造られた。

 空から殺人衝動を感知して殺人者を電撃で仕留めるのだ。

 最初は、期待通りの効果を上げたが、次第に人間が思ひもよらなかつた“殺人衝動”にまで天誅を下し始め…。

 機械の融通の利かなさが上手く効いてゐるお話。

《風起こる》

 地球を遠く離れた惑星、キャレラ第一星の開拓《前進探険部隊》をたつた二人で任されてゐる、生物学者のネリシェフと惑星観測員のクレイトン。

 ある日、水道から水が出なくなり、滞在してゐる安全なステーシヨンから、暴風吹き荒れる過酷な大地へと、修理地点へ向かふ事になった。

 キャレラ人はこの暴風を「中程度」と云ふので、それを信じて外に出てみたが…。

 暴風の描写がリアルで、映画を見てるみたいにハラハラドキドキ!

 オチがまた良く出来てる。

《一夜明けて》

 ニユーヨークに住んでゐるピアセン、ある日強烈な二日酔ひから目覚めると、そこはオレンジの樹海の拡がる、怪物の蠢く密林だつた…。 

 読み進んでゐくと、徐々に謎が明らかになると云ふ、私の好きなタイプの話。

《先住民問題》

 社会に馴染めないエドワード・ダントン、宇宙へ夢を馳せて、ある静かに落ち着いた海の惑星の島へと移住した。

 最初は穏やかな日々を過ごしてゐたが、次第に人恋しくなつた処へ、宇宙船が不時着した。

 喜び勇むで宇宙船の乗組員達を迎へたダントンだが、降りてきたのは、ダントンよりも遥か以前に地球を出発した人々だつた…。

 ダントンは地球人と信じてもらへず、一人奮闘するのですが、思はぬ方法で解決へと導くのです。

 頭良いなあ〜。

《給餌の時間》

 じつに理想的な古書店に足を踏み入れたトレッジス、『グリフォンの管理と飼育』と云ふ本を手に入れた…。

 この本の中で、一番短い話で、オチまで無駄無く、好き。

《パラダイス第2》

 牛飼ひ座の空域で、地球とおなじ青緑色をしてゐる惑星を見つけたフレミングの宇宙船。

 都市のひとつに着陸してみると、そこは数百年前の爆撃の跡と骸骨があちこちに散乱してゐる都市だつた。

 無人で尚且つ居住可能な星だとすると、巨万の富を得られるフレミングは、料理人のハワードと共に、調査に乗り出すが…。

 初期の諸星大二郎SFと、『エイリアン』を足して二で割つた話で、これまた私好み。

 

《倍額保険》

 エヴァレット・バースオールドは、生命保険の《倍額補償》(特別な事故のあつた場合に保険金を倍額支払ふといふ契約)を利用して、“無限時空飛行機”を使ひ、自分と瓜二つの先祖を探し出し、時空間の歪みから自分が分裂してしまつた“事故”に見せかけ、 一財産築かうと策略するが …。

 私は今回初めてシエクリイを読んだけど、この作品なんかは、典型的な“シエクリイ節”な作品では無いかな?

 自業自得で絶望的なラストなのに、何故か爽やかで未来を予感させる読後感。

《乗船拒否》

 宇宙船の乗組員は、全員の気持ちが一つになることが何より大切だが、スヴェン船長は頭を悩ませてゐた。

 無線士フォーブスが、奇妙な人種的理由で新任の補充員と一緒に働きたくないと云ひ出したのだ…。

 現実の人種差別を逆手に取つた発想がユニークな作品。

 これも好き。

《暁の侵略者》

 生存は絶へ間なき戦ひの連続だと教へられて育つたディロンは、徴用を待つことなく対星移民の登録をすませると、人口過多の地球を永遠にあとにし、広大な宇宙へと旅立つた。

 そして、とある惑星に降り立つと、最初に接触した異星人の心を侵略し始めたが…。

 この作品に、シエクリイの人生観が一番出てゐるやうな気がします。

《愛の語学》

 定期宇宙船が星々の間を行き交ひ、病害は絶滅し、戦争などは想像もつかぬものと化した時代でも、恋愛は未だに人々の心を困惑させる。

 ある時ドリスと云ふ娘に恋をした内気な青年ジェファーソン・トマスは、既成の言葉では自分の感情を伝へるには陳腐過ぎると、ティアナ星人が用ひてゐた特殊な《愛の言語》を究めるべく、惑星ティアナへと旅に出た…。

 しかし、よくもこんなクダラナイアホラシイ話を、壮大に書ききりましたよなあ(笑)。

 

農文協 編/奥村彪生 解説『聞き書 ふるさとの家庭料理 第7巻 まんじゅう・おやき・おはぎ』(社団法人 農山漁村文化協会/ニ○○三年発行)

 この巻には、漬けものを収録。

 まづは、古今東西の漬け物の種類の多さに圧巻!

 古から、いかに私達の身近に“発酵食品”が有つたかに思ひを馳せると、目の前に 壮大な漬け物曼陀羅 が浮かびましたよ。

 中でも、食べてみたい漬け物のレシピをメモメモします。

 【かぼちや漬(北海道)】

 二斗樽一本分の聖護院大根を縦半分に切つて、一週間塩漬け。

 かぼちや三個はあらく切つて、水をひたひたに加へて炊きあげ、汁ごとつぶす。

 水気をしぼつた大根を二斗樽に一段並べ、つぶしたかぼちやを平らに置いて、大根、かぼちや、と交互に詰め、笹の葉をかぶせ、ふたをして、重石かける。

 二週間すぎから食べられる。

 【生姜のこうじ漬(島根県)】

 生姜を薄く輪切りにして、ゆでてざるに上げ、冷ましてから二〜三時間陰干し(あらまし乾く程度でよい)。

 これを、あらかじめ米こうじに醤油を混ぜておいたものに漬け込む。

 一週間位で食べられる。

 【豆の保存漬(山形県)】

 大豆三合を洗つてゆでる。

 つけ汁として、酢五勺、赤ざらめ大さじ二杯、塩茶さじ一杯を合わせて煮立て、冷ましておく。

 醤油漬にする場合は、醤油大さじ三〜五杯、生姜汁大さじ二杯、塩茶さじ一杯を合わせ、煮立ててから冷ます。

 つけ汁をかめかびんに入れて、豆を入れて漬け込み、時々かき混ぜて味を含ませる。

 一週間位から食べられる。

 【かりんの砂糖漬(長野県)】

 かりんの表面には細かい毛があるので、ふきんでよくふきとり、半分に切つて芯をとつて薄く切りながら、色が変はらないやうに薄い塩水に入れてゐく。

 水を切り、かりん三〇〇匁に砂糖一〇〇匁位をまぶす。

 軽い重石をしてかりんが空気にふれないやうにしてびんに入れて、密封して保存。

 一カ月位すると食べられる。

 【なすとまつたけのからし漬(兵庫県)】

 米こうじに醤油を入れてふやかしてから、すり鉢でよくすり、練りがらしを入れ、ぬか床で古漬になつたなすを刻んで入れ、十月のまつたけの生へるころ、まつたけも生のまま刻んで混ぜ込み、壺に移し、目張りをしてをく。

 正月すぎから食べ始める。

 【味噌漬おかべ(鹿児島県)】

 豆腐を串にさして火にあぶり、串からはづして味噌の中につける。

 一カ月位は保存でき、取り出して薄く切つて食べる。

 【ぶとの味噌漬(鹿児島県)】

 てんぐさから作つた寒天液を流し箱に入れて固めて、固まつたら四〜五日味噌につける。