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そもそも自由だの多様性を訴えるのであれば、健康保険のような「他人の健康に対して「連帯責任」で罰金を負う制度は相応しくない。

トランプ大統領、オバマケア代替法案を撤回 政権に大打撃

AFP=時事 3/25(土) 5:58配信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170325-00000003-jij_afp-int

日本では散々「オバカケア」とバカにされてきたこの法案だが(まあ、他所の国の話なので関係ないってことかもしれないが)、オバマ元大統領は日本や欧州で当たり前のように行われている社会保険料だけではなく、税金が投入されている公的な健康保険制度を作ることができなかったわけだ。なので、落としどころとして「低所得者にも民間の医療保険に入れるよう」に「既往歴調査の禁止」や「低所得者を加入させない保険会社に罰金」等の制度にし、低所得者にも保険証を持たせられるようにした。(また、敢えて入らない人に対しても罰金を科すようにしたわけだ。)

健康は個人の自己責任だし、更に他人の健康に対して自分が責任を持つ必要もない。健康に対する政府の介入は怪しからんという考え方は別にアメリカ人に限ったことではなく、哲学・思想分野では度々主張されてきたことだった。フランスの哲学者M.フーコーなんかがまさにその典型だが、個人の健康に政府が介入するとロクなことが無いというのが彼らの主張なのである。

但し、人はいつ病気になったりけがをしたりするか分からない。だからそのために「保険」は必要。だが、それはあくまでも「個人の判断」に委ねられるべきで、国が税金を投入してまでやるべきではないというのが歴代のアメリカの考えだった。

ここが日本とアメリカの大きな違いだろうけど、日本のように移民をほとんど受け入れない国であれば、「場の空気を読め」「他人と同じように行動しろ」という「無言の圧力」をかけて個人の行動を規制することが可能である。ところがアメリカのように移民をバンバン受け入れてきた国ではそういうことは不可能である。そうなると個人はどんどん「自由」だの「多様性」だのと言いはじめ、「わがままな振る舞い」をしまくるわけである。しかし、その「わがまま」を認めているのがアメリカだ。だが、その「わがまま」が他人の権利を侵害するところまで来たら間違いなく問題になるので、それを規制すべく「訴訟社会」になっているのである。

因みにアメリカの医療費が高いのは、

1、些細な医療ミスでも訴訟を起こされるリスクが高い

2、薬剤メーカーが競って余計な新薬の開発を行い、それが医療費に上乗せされている

からである。

日本の医療費がアメリカに比べて安いのは、「コンビニ診療」みたいなのをする医師が未だに沢山いたりするから「軽症患者は適当にカルテを書いて薬出すだけで終わり」ということができているからであろう。

日本の国民皆保険制度が「素晴らしい」という人は、「横柄な医者」や「いい加減な医者」に文句を言ってはいけない。そういった人たちだらけだったから日本は医療制度を維持し続けられてきたのである。

一方、歯医者はそうはいかない。多分、アメリカも日本も診療時間は大して変わらないだろう。というのも、基本的に歯医者って「外科手術」をほとんどのケースで行う訳で、それは「ここが痛いのですか?あー、それじゃこの薬だしておくね。お大事に―。」で済むわけがなく、医師がかかりっきりになって歯を削ったりしなければいけない。しかも設備に莫大なカネがかかるわけで、そりゃあ歯医者が倒産するのは当然だろうなと思う。(後は私立歯学部の偏差値が低すぎて、親がカネさえ持っていれば馬鹿でもなれてしまって歯科医師が増えすぎてしまったことにもある。)

まあ、歯医者は例外としても、それ以外の科、例えば皮膚科や眼科、耳鼻科や循環器科なんかの「町医者レベル」の科でも滅茶苦茶受診料が高いのであればそれはアメリカ人に安易に「自由」だの「多様性」だのを認め、「訴訟社会」になったのが原因だろうなと思う。

もちろんアメリカとは言わないまでも、欧州もそれに近く、「個人の自由と多様性」を認めてしまったために健康保険制度が整っていても、安易に風邪やインフルエンザ程度では医者に掛かれない状況に陥った。(イギリスなどでは、白血病等の重度かつ高額医療費が必要な病気を優先的に治療できるようにするために、普通の風邪なんかの受診料に上乗せしたり、そもそもそのような患者は安易に受診できないようにしたり(受診まで何カ月待ちとか)したわけだ。

個人の権利だの多様性だのを安易に認めると気軽に病院に掛かれなくなる―――これについて日本人はもっと自覚的になるべきである。日本にいてちょっと風邪を引いたら内科で見てもらうとか、花粉症程度でも耳鼻科で診てもらうとか当たり前のようにしている人がほとんどだが、諸外国ではそういう行動は一切通用しないのである。

更にオバマケア自体が「貧困層の受診率を促し、初期状態で病気を見つけておくことで、重症になってから病院に駆け込んで莫大な医療費がかからないようにする」という大義名分があったようだが、結局、重症患者の為に軽症患者の受診を控えさせるようにする(欧州)しかなくなるわけで、そうなるとオバマケアの大義名分は失われることになるだろう。

そうなると、トランプ政権がオバマケアを廃案にしようとするのは当然の事。ていうか、代替案は「アメリカには公的な健康保険は必要なし。貧乏人は安楽死しなさい。」だろう。

実は、公的な健康保険制度を作りたいのであれば、アメリカはまず個人の自由と多様性を制限すべき。そして更に日本で起きているような「老人や障害者天国」にならないように、「弱者特権」を制限するようにしなければいけない。(不妊治療なんて以ての外。)

結局、かつてのアメリカが目指した「勤勉なプロテスタント層が集まって初めて『自由』が実現する」という理念を実践すれば良いだけの話なのである。ところが、かつての建国の理念であった「プロテスタント層」の理念とは相容れない人間をバンバン受け入れ、彼らに「自由」と「多様性」を与えてしまったからこういうことになったのだ。

トランプ大統領が「WASP層重視」の姿勢で行くのであれば今は無理だけれども、後々公的な健康保険制度を作れる国になりますよということも可能だ。但し、国民はせっかちだからそこまで我慢できないだろうし、勝手にアメリカに侵入してきた底辺層は文句を言うだけだろうな。

だから、安易に移民を受け入れてはいけないし、国家にとって「受け入れてはいけない自由と多様性」はきちんと守り抜くべきである。(法律で定まっているようなどの国でもダメと言われている事だけではない。)